Orizzonte Records

〜渡瀬あつ子 ホームページより〜

「津波で妻を亡くし、ずっと受け止めることができずにいました。
　今日やっと涙を流すことができました。」 

復興ライブで歌い終えた私の手を取り、
泣きながら言ったその男性の言葉が忘れられません。

3.11東日本大震災から2年が経ちました。
何もできずに呆然とテレビを見つめてた日々でした。
歌とは音楽とは、なんと無力なのかと感じずにはいられない日々でした。
夢や希望が小さく遠のいていく…

私に何ができるのか。

未だ目に見えないものと戦っている私の故郷。
大切な人を失い、たくさんの悲しみを背負いながらも
元気な福島を取り戻すべく頑張っている故郷。

その男性の言葉とたくさんの方に支えられながら、
今の私にできる精一杯をこのアルバムに込めました。

これから訪れるたくさんの困難に、今こそ音楽の力を信じたい。
乗り越えられないものなんて、決してこの世にないはず。命ある限り。

生かされた私達にできること、それは無念の思いで亡くなられた
たくさんの方の果たせなかった思いや夢を未来へ届けること。
すなわち「生きる」こと。
これはあの日から与えられた私達の使命。
辛くても苦しくても、いつか必ずそれは過去に変わる日が来る。
どうか自分を信じて、過去を信じて、未来を信じて。

このアルバムがほんの少しでも皆さんに寄り添えることができたら幸いです。

渡瀬あつ子